アンタッチャブル

ギャング・マフィア
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アクション ギャング・マフィア ドラマ

1959年にテレビ化され人気を博した、財務省特別捜査官のエリオット・ネスの自伝を原作とした作品。監督は私も大好きなサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックをこよなく愛してやまない鬼才ブライアン・デ・パルマ。禁酒法が布かれていたアメリカを舞台に、ギャングの首領アル・カポネと、その男の逮捕を誓った捜査チーム「アンタッチャブル」の戦いを激烈かつ壮大なスケールで描いた作品である。 捜査チームの一人、老警官マローンを演じたショーン・コネリーは本作で、第60回アカデミー賞助演男優賞、第45回ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞している。

おすすめ度:4.0

アンタッチャブル 作品情報

基本情報
1987年製作/119分/アメリカ/原題:THE UNTOUCHABLES

スタッフ
監督:ブライアン・デ・パルマ/製作:アート・リンソン/原作:オスカー・フレイリー、エリオット・ネス/脚本:デビッド・マメット/撮影:スティーブン・H・ブラム/編集:ジェリー・グリーンバーグ/音楽:エンニオ・モリコーネ

キャスト
ケビン・コスナー、ショーン・コネリー、アンディ・ガルシア、チャールズ・マーティン・スミス、ロバート・デ・ニーロ、ビリー・ドラゴ、リチャード・ブラッドフォード、パトリシア・クラークソン etc.

アンタッチャブル あらすじ(ストーリー概要)

犠牲

1930年、禁酒法下のアメリカ・シカゴ。街を牛耳っていたギャング(マフィア)のボス、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)は、理髪店で取材を受けていた。悪法の代名詞とも言われた禁酒法は、酒の密輸と密造により、アル・カポネをはじめとしたギャング(マフィア)達に莫大な利益をもたらし、政治家だけでなく、警察等も買収されていた。シカゴでアル・カポネに逆らえる者はおらず、マスコミすら手懐け民衆からも支持を得ていた。しかし、更なる利益拡大を目論むギャング(マフィア)達。やがて、勢力拡大の為、対立・抗争に発展、銃撃、爆破、殺人等が横行することになる。 そして、ある日、一人の少女がギャング(マフィア)間の抗争に巻き込まれ、犠牲になった。

赴任

この様な状況に政府は、財務省のエリオット・ネス(ケビン・コスナー)を調査官として、シカゴに派遣する。ギャング(マフィア)摘発に燃える野心家のネス。赴任早々、カポネ摘発の証拠に繋がる密造酒が保管されている倉庫に踏み込む。ところが、樽の中身は密造酒ではなく、傘や雑貨等の類だった。買収された警官が情報を漏らしていたのだ。記者にその際の写真まで取られ、新聞にまで黒星と掲載される始末。落ち込むネスは、帰り道でパトロール中の老警官ジム・マローンに出会う。「警官の仕事は無事に家に帰る事」と話すマローン。汚職・腐敗しているシカゴの警察の中で、彼は小さいながらも自分の中の正義を貫いてる様に感じた。

決意、「アンタッチャブル」結成

その翌日、犠牲になった少女の母がネスを訪れ、涙ながらに我が子を失った悲しみ、そして、「決して諦めないでください」とネスを励ますのだった。心を動かされたネスは、少女の母親の強い思いに応える為に、カポネの逮捕を決意する。

昨晩のやりとりから信頼できると感じた老警官マローンにカポネ逮捕の協力を依頼する。カポネの怖さを知っている為、協力を躊躇するマローンだったが、ネスの熱意に負け、協力を決意する。 腐敗が蔓延る警察では信用ができないというマローンと共に、警察学校を訪れ、射撃の腕が光る生徒ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)を選び出す。そして、政府から派遣された経理担当のオスカー・ウォーレス(チャールズ・マーティン・スミス)。彼は脱税の側面からカポネ逮捕に漕ぎつけるのではと考えていた。実際、カポネはその莫大な収益にも関わらず、無収入とされていた。ここに4人のカポネ逮捕の特別チームが結成され、新聞も「アンタッチャブル」として大々的に取り上げる。「アンタッチャブル」とは“触れることができない”つまり(転じて)“買収できない”ことを指す。

対決

チーム編成早々、ネス率いる4人は銃を片手に密造酒の摘発に成功する。忌々しく感じたカポネは市議会議員を通じて、ネスを買収しようとするが、ネスは拒否。家に帰ると車の中にいた白いスーツの男が不気味な言葉を残す。カポネの殺し屋フランク・ニッティ(ビリー・ドラゴ)だった。妻子の危険を感じたネスは安全な所に避難させる。

家族と離れたネスは、ウォーレスの調査を元に、脱税容疑の捜査を続行、ついにカポネの経理担当を拘束することに成功。

大激怒したカポネは様々な手段でネス達「アンタッチャブル」を執拗に付け狙う。公判直前、証人を保護していたウォーレスはエレベーターの中で証人共々射殺される。エレベーターの中には彼の血で“TOUCHABLES(タッチャブル:手が届くぞ)”と書かれていた。証人の死で告訴取り下げに同意しようしたネスにマローンは告訴を取り下げるなと説得。半ば脅しで知り合いの警官からカポネの帳簿係の居場所を聞き出すマローンだったが、自宅に戻ったところで、殺し屋ニッティに撃たれ、駆け付けたネスとストーンに最期の情報を伝える。それは帳簿係が乗る予定の列車の時刻表だった。 仲間を次々殺された、ネスとストーン。仲間の敵討燃える二人は強い思いを胸に、シカゴ・ユニオン駅へと向かう。

アンタッチャブル 感想・レビュー(ネタバレ)

冴えわたるブライアン・デ・パルマの演出

本作「アンタッチャブル」は随所にブライアン・デ・パルマの演出が冴えわたる。いや、本作が名作足りえているのはデ・パルマだからとも言える。

私も大好きな監督で“映像の魔術師”“サスペンスの神様”と称され、多くの映画ファンを魅了したアルフレッド・ヒッチコックを愛し、その影響を強く受け、一時期は「ヒッチコックの後継者」とも言われたデ・パルマ。反面、「ヒッチコックの模倣者」等と批判もされた。

“長回し”“分割画面”“スローモーション”等が所謂デ・パルマカットと呼ばれる映像技法で多くのファンを獲得している。

本作で最も印象的な映画終盤の「階段のシーン」は名シーンの一つだろう。

シカゴ・ユニオン駅。ネスとストーンが帳簿係を待ち構えている時に、赤ん坊を乗せたベビーカー(乳母車)が母親の手を離れ、階段から落ちる様子が“スローモーション”で落ち、銃撃戦が展開される。

サイレント映画が好きな私はどこかで観たと感じたが、セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の「戦艦ポチョムキン」(1925年)の「オデッサの階段」だ。

しかし、当初は大規模なアクション・シーンを予定しており、予算の関係上しかたなくこの「階段のシーン」に変更したという。 予算の問題がなければ、この名シーンは誕生してなかった事と思うと何とも興味深い話だ。

元祖カメレオン俳優、ロバート・デ・ニーロ

最近、日本でもよく耳にする“カメレオン俳優”というキーワード。個人的にはえっ、この人が???という人もいたりして、実力に見合っておらず乱用しすぎる気がする。“カメレオン俳優”とは簡単に言うと“演じる役柄によって、見た目(体重・容姿)、話し方等、一見するとその役者であると分からなく程変幻自在に演じてしまう俳優”のこと。

そして、“カメレオン俳優”という言葉を浸透させた俳優こそ、“元祖カメレオン俳優”名優ロバート・デ・ニーロだ。その徹底した役作りは“デ・ニーロ・アプローチ”と呼ばれている。

「ゴッドファーザー PART II」(1974年)では、若きドン・ヴィト・コルレオーネを演じる為にわざわざシチリアまで赴きシチリアなまりのイタリア語をマスター。「タクシー・ドライバー」(1976年)では、タクシードライバーを演じる為に、タクシー運転手として実際に勤務。実在のプロボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描いた「レイジング・ブル」(1980年)では、ミドル級のチャンピオンまで上り詰めた現役時のボクサーの肉体、そして現役引退後のラモッタの肥満体を体現する為に27キロの増量を行い、一人の人物の半生を見事に演じ分け、第53回アカデミー主演男優賞に輝いた。等々、数え上げればその徹底したアプローチで演じた作品は枚挙にいとまがない。 本作「アンタッチャブル」では出番は多くはないが、見るものに強烈な印象を液つけている。ギャングのボス、アル・カポネを演じる為(前頭部の禿げ)、自身の前頭部の頭髪をそり上げた上、生え際は自身で毛髪を1本1本抜いているのだ。加えて、身体こそ別の映画の撮影が控えていた為、ボディースーツを着用してカポネの恰幅のよさを再現しているが、顔だけは見事に肉付きよく太らせ(ほんとにどうやったんだろう)、正にアル・カポネそのものに成りきっている。中学生位の時にテレビで見た自分も一時本作の主演がロバート・デ・ニーロだと思っていた。それほど強烈だった。

一度聴いたら忘れないエンニオ・モリコーネの名曲

本作の音楽を担当しているのは、数々の名作映画に名曲を提供したイタリア出身の巨匠エンニオ・モリコーネだ。1960年代に製作されたセルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」(1964年)、「夕陽のガンマン」(1965年)、「続・夕陽のガンマン」(1966年)等の所謂マカロニ・ウェスタン映画を彩り、“マエストロ”の愛称で親しまれた。

本作ではグラミー賞を受賞している。そしてモリコーネの名を世界的に知らしめたのがあのジュゼッペ・トルナトーレ監督の名作「ニュー・シネマ・パラダイス」(1989年)だ。その他、ローランド・ジョフィ監督の「ミッション」(1986年)、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「マレーナ」(2000年)等、名画の音楽を担当、計6回アカデミー作曲賞にノミネートされている 一度聴いたら忘れられない「アンタッチャブル」のメインテーマは、劇中のサスペンスをより一層盛り上げている。

アンタッチャブル 実話・元ネタ

本作の舞台となるのは、禁酒法が布かれていた1930年代のアメリカ・シカゴだ。ロバート・デ・ニーロ演じるギャングのボス、アル・カポネは禁酒法を背景に密造酒の製造や販売、売春業や賭博場経営で巨万の富を築き、暗黒街のボスとして君臨することになる。

実話レベル

実話レベル:4.0 ほぼ忠実

禁酒法について

そもそも、この悪名高き禁酒法がどの様な理由で制定されたのか。

禁酒法は1919年1月にアメリカ合衆国憲法修正18条が成立、翌年1月に施行され、アメリカ国内でのアルコール飲料の醸造、販売、運搬の他、輸入・輸出も違法となった。第31大大統領ハーバート・フーヴァーが「高貴な動機と遠大な目的をもった社会的、経済的実験」と評したこの法律は、1933年12月までの14年間続くことになる。但し、工業用アルコールの製造は認められていた為、これを原料とした密造酒が増えた。工業用アルコールには様々な不純物質が含まれている為、これと口にした人達の大量死を引き起こしたりもした。

1920年に施行された禁酒法の歴史は古く、19世紀まで遡る。禁酒の概念にはキリスト教の考えが影響している。

(歴史、宗教(の歴史)も絡んでくるので、ここで全部説明することはできないので、興味のある方は、ご自身で調べてください。)

キリスト教では、お酒は神聖なものとされ、中でもアメリカ建国に貢献したピューリタン(清教徒)はプロテスタントの中でも潔癖・厳格な人たちであり、“酒は人間を堕落させるもの”“酒は悪魔がもたらした飲み物”と考えていた。1840年代に入り、各地から移民が流入、中でも酒好きなアイルランド移民やイタリア系移民の酒癖の悪さに大いに悩まされた。

また、夫(男性)が酒場に入り浸り、家庭生活に支障をきたすことに対する女性達の不満も高まっていった。中でも、まさかり(斧)を持ってバーに入り、酒瓶はおろか備品、在庫を粉砕した“禁酒法の母”と呼ばれたキャリー・ネイションのエピソードは有名だ。 その様な状況の中、第一次世界大戦が勃発、戦時の国内の穀物不足に備えるとともに、労働意欲(産業力)の低下防止の為、禁酒法制定の機運が高まり、ついに1920年禁酒法が施行されることになった。

実際の(真実の)アンタッチャブル

禁酒法について、ボリュームを割いてしまいました。ようやく元ネタについて。

本作は、ケビン・コスナー演じる財務省特別捜査官のエリオット・ネスの自伝を原作として製作されている。その為、話の大筋は映画の通りであるが、色々と強め?に脚色はされているようです。

映画ではネスが選りすぐった3名、自身を含めて4人の“アンタッチャブル”のメンバーが、実際は財務省が選任した11名の役人であった。

カポネの殺し屋フランク・ニッティは劇中、ネスによりビルから落とされて死亡しているが、ネスと直接関わることなく、アル・カポネ逮捕後にはギャングのボスとして君臨している。その後、同じく脱税で逮捕・収監される。釈放後、再度逮捕されそうになった際にシカゴの自宅付近で頭を打ち抜き自殺している。 劇中ではメンバー2人が殺されているが、実際殉職しているメンバーはいない。(只、ネスの運転手は殺されている)の他、細かい部分(他にも色々と)を挙げると実際には事実と異なる部分はかなり多い。

こんな人におすすめ(まとめ)

  • ギャング映画(マフィア映画)が好きな人
  • チームでの活躍が好きな人
  • 映画の名曲(エンニオ・モリコーネ)に浸りたい人
  • 禁酒法時代を舞台にした映画が好きな人
  • 捜査映画が好きな人

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