エクソシスト ディレクターズ・カット版

ホラー
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オカルト ホラー 実話

1973年に制作され、1970年代以降のオカルト映画ブームを生んだホラー映画の金字塔「エクソシスト」。その本編に当時カットされた10分程のシーンを追加した作品が本作『エクソシスト ディレクターズ・カット版』(2000年制作)だ。

おすすめ度:4.0

エクソシスト ディレクターズ・カット版 作品情報

基本情報
2000年製作/131分/アメリカ/原題:The Exorcist: The Version You’ve Never Seen

スタッフ
監督:ウィリアム・フリードキン/製作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ/製作総指揮:ノエル・マーシャル/原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ/脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッティ/撮影:オーウェン・ロイズマン/特殊メイク:ディック・スミス/音楽:マイク・オールドフィールド、ジャック・ニッチェ

キャスト
エレン・バースティン、リンダ・ブレア、ジェイソン・ミラー、マックス・フォン・シドー、リー・J・コッブ etc.

エクソシスト ディレクターズ・カット版 あらすじ(ストーリー概要)

カトリックの神学者でもあるランカスター・メリン神父(マックス・フォン・シドー)。アメリカの古生物学者でもある彼は、イラク北部での古代遺跡の発掘調査に参加していた。彼はその発掘現場で“悪霊(悪魔)パズズ”の像を発見し、不吉な胸騒ぎを覚える…。

舞台は変わって、アメリカ、ワシントンD.Cの北西部の街・ジョージタウン。

女優のクリス・マクニール(エレン・バースティン)は映画撮影のために家を借り、一人娘のリーガン(リンダ・ブレア)と滞在していた。夫と離婚後、クリスは、女手一つでリーガンを育てていた。

同じジョージタウンに住むデミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)は定期的に、ニューヨークに住む母親メアリー・カラス(バシリキ・マリアロス)の見舞いに訪れている。

その頃、クリスの一人娘リーガンに異変が起き始めていた。恫喝的な声色で卑猥な言葉を発し、表情も醜悪なものに豹変。荒々しい言動は日に日に激しくなっていく。

病院での診察、科学検査でも解明できない。

その矢先、クリスの友人で映画監督のバーク・デニングズ(ジャック・マッゴーラン)がクリス宅を訪問した直後に、石段から転げ落ち首の骨を折り、亡くなるという実験が発生。捜査に乗り出したキンダーマン警部(リー・J・コッブ)でしたが、不審な点が数多く…。

一方、リーガンは血を吐き、ブリッジで階段を下りたり、十字架で陰部を刺すなど、症状は悪化の一途を辿ります。

そんな時、バリンジャー診療所で、クリスが訴えてきた事を理解する医師が現れます。そして「かなり珍しい症状ではありますが」と前置きした上で、あるショック療法を提案します。それが「悪魔祓い(エクソシスト)」でした。 そして、クリスは藁にも縋る思いで、カラス神父に助けを求め悪魔祓いを依頼します。当初は否定的なカラス神父だったが、リーガンのお腹に「HELP ME」という文字が浮かび上がっている事で、悪魔が憑いていると確信し、教会に悪魔祓いを要請。儀式の責任者として、悪魔祓いの数少ない経験者メリン神父が選ばれます。クリス宅をメリン、カラスの両神父が訪れ、壮絶な悪魔祓いが始まる。

エクソシスト ディレクターズ・カット版 感想・レビュー(ネタバレ)

オカルト映画ブームを生んだホラー映画の金字塔

「オカルト映画」とは、一言で“超自然現象、超常現象や超能力など、科学的に説明ができない神秘的・不可思議な内容をテーマとした映画”で、ホラー映画の一ジャンルである。 その「オカルト映画」を一つの映画ジャンルとして確立したのがまさしく「エクソシスト」で、本作以降、「オーメン」(1976年)、「悪魔の棲む家」(1979年)といった作品が製作されることになった。

ホラー・クイーン

優れたホラー映画には必ずと言っていいほど、魅力的な女優や、優れた表現者が存在する。60年代には、あの“サスペンスの神様”“映像の魔術師”と言われた巨匠アルフレッド・ヒッチコックの名作「サイコ(1960年)」のジャネット・リー、「ハロウィン(1978年)」のジェイミー・リー・カーティスなど。 そして、本作で悪魔に憑依された少女リーガンを演じたリンダ・ブレアだ。その愛くるしい顔が凄まじい醜悪な形相に変化し、「FUCK ME!」と猥雑な言葉を吐き、自分の陰部に十字架を何度も突き刺す。キリスト教の国では上映時に失神者が続出したのも頷ける。見事「ゴールデングローブ賞 映画部門 助演女優賞受賞」し、「アカデミー賞 助演女優賞ノミネート」される程の迫真の演技だ。リンダ・ブレアに興味のある方は続編「エクソシスト2(1977年)」を観賞してみるのもよいかも。成長した女性らしさも増した彼女の姿が見れます。

ディレクターズ・カット版とは

「劇場公開版」と「ディレクターズ・カット版」の違い

本作に限らず、映画の歴史を見てみると、色んな映画で様々のバージョンが存在する。VHS、DVD、Blu-ray(ブルーレイ)等の普及に伴い、私たちも色んなバージョンを観賞する機会が増えている。

日本映画では、基本的に監督(ディレクター)が最終的な編集権限を持っている為、所謂「劇場公開版」は監督が編集した作品であり、「ディレクターズ・カット版」といったものが新たに編集・製作されることはない。

これに対して、ハリウッド映画は最終的な編集権限は製作者(プロデューサー)が持っている為、作品によって「ディレクターズ・カット版」が編集・製作される。その背景は一概には言えないが、製作者(プロデューサー)が編集権限をもって公開される「劇場公開版」は興行収入を最優先に考えて編集が行われる為、監督(ディレクター)にとっては時に不本意な編集が行われる事が多く、芸術性を重視する監督(ディレクター)が自ら編集・製作した作品が「ディレクターズ・カット版」として発表・公開される。 他にもその作品の製作背景や、監督、主演の関係性等によっても様々なバージョンが存在する。例えば、「日本劇場公開版」「インターナルバージョン」など。同じ作品でバージョン違いを観賞するのも映画鑑賞の楽しみ方の一つですね。

「エクソシスト ディレクターズ・カット版」について

さて、前置きが長くなってしまいましたが、「エクソシスト ディレクターズ・カット版」について少しだけ触れておきたい。本作の「ディレクターズ・カット版」は前述の背景とはまったく異なったものだ。1973年に製作された「エクソシスト 劇場公開版」に於いても、ウィリアム・フリードキン監督は自身の思い通りに編集し作品を完成させている。つまりその時点での「ディレクターズ・カット版」である。

それにも拘わらず、何故、27年後に改めて、10分程度の当時の削除シーンの幾つかを追加した新たな「ディレクターズ・カット版」を製作したのか。そのきっかけは、原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティから再編集の話を持ち掛けられたことだ。「エクソシスト 劇場公開版」は当初予定の作品時間より最終的に12分程短く編集され、原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティは納得がいかず、監督ウィリアム・フリードキンに対して“作品の魂を汚した”とまで言い、その後一時の間、口も聞いてくれなかったらしい。歳月が流れ二人の仲も元通りになった2000年に原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティが監督ウィリアム・フリードキンに“作品の再編集をやり直してみないか?”と持ち掛けられ、実現したのが「エクソシスト ディレクターズ・カット版」だ。

当時削除されたシーンは、①監督の意図によるものや、②当時の編集技術では作品に入れる事ができなかったものなど、様々なシーンが存在する。

①の代表的なシーンは、「悪魔祓い」の途中、階段に腰かけたメリン神父とカラス神父の会話だ。1973年の編集時には、その会話を入れなくても、十分、作品として伝わっていると判断され削除されたようだ。②の主なシーンは、ブリッジした状態でリーガンが階段を降りてくる所謂スパイダー・ウォークのシーンだ。このシーン、ワイヤーで身体を固定して撮影しているのだが、当時の編集技術ではワイヤーを消すことができかったらしい。 映画の楽しみ方は様々だが、この様な製作の背景を知ることで、違った見方や、製作に携わった人たちの思いを垣間見ることができる。

エクソシスト ディレクターズ・カット版 実話・元ネタ

 “エクソシスト”“悪魔祓い”を題材にした映画には実話を元にした作品が多い。本作「エクソシスト」もある事件をモデルとしている。その事件とは、1949年に「ワシントンポスト」紙に掲載された『メリーランド悪魔憑依事件(メリーランド悪魔憑き事件)』だ。実際に本作の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティもこの記事(事件)を元にしたと言われている。

実話レベル

実話レベル:2.0 実話ベースで脚色

事件の概要

メリーランド州コッテージシティ市に住む13歳(14歳)の少年ロビー。彼は一人っ子で叔母のハリエット(自称・霊媒師)によく懐いていた。ある日叔母ハリエットが謎の死を遂げる。

叔母の死にショックを受けたロビーは、叔母がよく使っていたウィジャ・ボードを使い、死んだ叔母とのコンタクトを試みる。これを切っ掛けに不可解な現象が起こり始める。家具が独りでに動いたり、花瓶が飛んだりといったポルターガイスト現象。ロビーの人格も豹変し、彼の身体には「助けて!」「閉じ込められた」といった文字や顔が浮かび上がり、身体には引っ掻いたような傷跡も現れる。彼の両親が病院に連れて行くものの症状は一向に治まらない。この辺りは本作「エクソシスト」と同じだ。困り果てた両親はプロテスタント・ルーテル派のシュルツ牧師に救いを求める。シュルツ牧師は調査の為、ロビーの家に宿泊するが、ベッドに寝かせたロビーが異常な動きで部屋中を動き回り、異音がしたりといった現象を目の当たりにし、“悪魔付き”であると判断、悪魔祓いを行うが失敗する。

シュルツ牧師は改めて、カトリック教会に悪魔祓いを依頼し、ローマ・カトリック教会のエドワード・ヒューズ神父は観察の後、イエズス会ジョージタウン大学病院にて、悪魔祓いを指揮する。悪魔祓いの最中、ロビーがヒューズ神父に傷を負わせた為、儀式を中断、ロビーは一度家族の元に帰される。ロビーは帰宅直後に呻き声をあげ、家族はロビーの胸の上に血で書かれた「St. Louis(セントルイス)」という文字を見つける。そして、その町は叔母ハリエットが死亡した場所だったのだ。そこで一家はセントルイスへ向かった。

ロビーの従兄弟はセントルイス大学の教授でもあったビショップ神父に連絡、ビショップ神父は大学の教会関係者のウィリアム・S.・ボウダーン神父(ボーデン神父)に相談。ボウダーン神父(ボーデン神父)はロビーの元を訪れた結果、悪魔祓いの許可を大司教に求め、悪魔祓いの許可が降りる。

ボウダーン神父(ボーデン神父)は、二人の助手(ハロラン神父、ウィリアム・ヴァン・ルー神父)の元、悪魔祓いの儀式を開始する。彼ら2人は、2ヶ月以上もの間、30回以上の悪魔祓いを行い、壮絶な儀式の末、ようやく悪魔祓いに成功する。キリスト教に関わる物を怖れていたロビーだが、悪魔が去ると「Christus, Domini(主キリスト)」「Christ, Lord(神様)」といった言葉を発した。その際、雷鳴やショットガンの音に似た轟音が病院中に響き渡ったとレポートに記されている。

以前と同じく平穏な日常を取り戻したロビー。その後結婚し、父親になり、悪魔憑依(悪魔憑きI)の記憶も忘れてしまったとか。そして、最後に悪魔祓いが行われた部屋は二度と立ち入れないように封印されているという。

忠実に再現した映画「エクソシスト トゥルー・ストーリー」

本作「エクソシスト」はこの『メリーランド悪魔憑依事件(メリーランド悪魔憑き事件)』を元にしているのだが、この事件を忠実に再現した映画も製作されている。「エクソシスト トゥルー・ストーリー」(2000年)だ。興味のある方はこちらも観賞してください。

こんな人におすすめ(まとめ)

  • ホラー映画デビューしたい人
  • オカルト映画好きな人(orオカルト映画デビューしたい人)
  • エクソシスト(悪魔祓い)映画が好きな人(or 見てみたい人)
  • リアルなホラー映画が見たい人

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