オープン・ウォーター

アニマル・パニック
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アニマル・パニック シチュエーション・スリラー スリラー パニック 実話 鮫(サメ)

1998年にオーストラリアである夫婦が沖に取り残された事件に着想を得て製作された異色サスペンス、パニック映画だ。本物の鮫(サメ)を使う等、特殊効果やCGは一切使わず撮影された。「バッファロー’66(バッファロー シックスティ シックス)(1998年)」、「メメント(2001年)」等、若く優れた映画人が注目されたインディペンデント映画祭の最高峰である「サンダンス映画祭」でコンペ外にもかからず、立ち見が出る程で、低予算映画でありながら大絶賛され、全米でもスマッシュヒットを飛ばした。 日本でも「最も怖い実話“取り残される 気付かない 誰も」のキャッチコピーで公開された。

おすすめ度:3.0

オープン・ウォーター 作品情報

基本情報
2004年製作/79分/アメリカ/原題:OPEN WATER

スタッフ
監督:クリス・ケンティス/製作:ローラ・ラウ/撮影:クリス・ケンティス、ローラ・ラウ/共同プロデューサー:エステル・ラウ/脚本:クリス・ケンティス/音楽:グレーム・レヴェル(グレーム・レベル)

キャスト
ブランチャード・ライアン、ダニエル・トラヴィス(ダニエル・トラビス)、ソウル・スタイン、エステル・ラウ、マイケル・E・ウィリアムソン、クリスティーナ・ゼナーロ、ジョン、チャールズ etc.

オープン・ウォーター あらすじ(ストーリー概要)

ワーカホリックですれ違いぎみの夫婦のスーザン(ブランチャード・ライアン)とダニエル(ダニエル・トラヴィス)は、何か月も先延ばしにしていたバカンスでカリブ海を訪れる。出発直前も仕事に追われる二人の携帯は仕事の電話が鳴りやまず、スーザンは休暇なのにパソコンを持参する状態。仕事から離れて満喫するはずのバカンスなのに、仕事を完全に忘れられない二人。ちょっとした事で口論になり、ベッドでも気が乗らない。お互いに愛情はあるのだが、仕事に忙殺される日常で、自然と距離ができてしまい、距離を埋める切っ掛けを失っていた。

早朝、スキューバ・ダイビングの為、ツアーボート”リーフ・エクスプローラー号”に乗り込む。他のツアー客も含めてボートは満員状態。ダニエルはグループとは離れ「勝手にやろう」と言う。「この辺の鮫(サメ)は人を襲わないので心配いりません。」とガイドがアナウンスし、ツアー客達も安心して、35分間のダイビングを楽しむ為、水深18メートルの海に飛び込んでいく。スーザンとダニエルもダイビングを楽しみ、開放的な雰囲気の中、仕事も忘れこのひと時を満喫する。二人がウツボに見入ってる時、ツアー客たちは35分のダイビングを終え、ガイドの指示に従い、ボートに上がり始めていた。そして、海を満喫した二人が海面に上がった時に、ボートの姿はなかった。信じられない事に、スタッフの単純なミスにより、ツアー客全員が戻ったと思い込み、スーザンとダニエル夫婦を残した帰途に着いたのだった。 最初こそ、「置き去りにするはずはない」「別の船が通りかかる」など楽観視していたが、時間の経過と共に、海面の揺れによる嘔吐、脱水症状、好転しない状況に苛立ち、罵り合い、お互いを責め始める。“見渡す限りの海”“足も届かない”“助けも来ない”この状況下で頼れるのはお互いだけ。落着きを取り戻す二人の身体に何かが触れる。おびただしい数の鮫(サメ)が姿を現した…。

オープン・ウォーター 感想・レビュー(ネタバレ)

脅威の撮影方法・命がけの撮影

“単なる鮫(サメ)映画やホラー映画を作りたい訳ではなく、リアルなものにしたかった”クリス・ケンティス監督とプロデューサーのローラ・ラウは語っている。

その為、本作では実際に本物の鮫(サメ)を使用しての撮影を行っている。映画を観ればそのリアル観が伝わってくる。実際に大量の魚の肉塊を俳優達の近くに投げ入れて撮影もされており、低予算ながらも安全対策が講じられているとは言え、俳優達の事を考えると恐ろしい…。

その為、保険の掛けようもなく、監督・プロデューサー、俳優達の間では、「撮影中に何がおきても訴訟は起こさない」という権利放棄書にサインをしたという。

正に命がけの撮影によって、リアリティー溢れる作品に仕上がっている。 因みに、あのスティーヴン・スピルバーグ監督の名作「ジョーズ」(1975年)での撮影では、本物の鮫(サメ)も使用されてはいるが、基本的に俳優達と鮫(サメ)が絡むシーンでは、アニマトロニクスを使用してのものだった。

オープン・ウォーター(開放水域)という限定空間(シチュエーション)

スリラーとしての要素を高めている要因に、「シチュエーション・スリラー」という設定がある。「シチュエーション・スリラー」とは、“主役や登場人物がある一定の空間に閉じ込められたり、不条理な状況に立たされたり、といったように、そのシチュエーション(限定空間)からどうやって脱出するか、危機を脱するかを描き、その事によって、スリルを生じさせる映画”のことだ。

猟奇殺人鬼ジグソウによって、密室に閉じ込められた挙句、命がけのゲームを強いられる「ソウ」(2004年)や、ジョディ・フォスター主演で、新居にこしてきた主人公とその娘が、夜中に侵入してきた強盗犯から逃れる為に、パニック・ルーム(緊急用の避難部屋)に逃れる「パニック・ルーム」(2002年)など、このジャンル(シチュエーション・スリラー)には名作・佳作が多い。 本作も、オープン・ウォーター(開放水域)というシチュエーション(限定空間)が舞台であり、それだけでも絶望的な状況なのだが、「足が届かない深い海」「見渡す限りの海」「叫び声すら届かない」「身を守る武器もない」そして「無数の鮫(サメ)」といった多くの要素を追加することで、スリラー映画としての緊張感をこれでもかという程増幅させている。

リアルな心理描写

「シチュエーション・スリラー」や「パニック映画」といったジャンルでは、主人公や登場人物の心理描写が映画を面白くする大きな要素となる。

本作では、周りの状況の変化に伴う、夫婦二人の心理描写は秀逸だ。「ツアー船に取り残され自分たち以外には誰もいない状況」「流され離ればなれになる」「クラゲに刺される」「足を鮫(サメ)に噛まれる」「夜中の暗い海」「暗闇での雷雨」、「無数の鮫(サメ)の出現」。

その様な状況の変化に伴う「責任のなすり合い」、「愛してる」、「幻覚症状が出る」といった心理描写が79分という短い時間の中で展開される。 実話を元にした映画であるだけに、より一層リアルに伝わってくる。

オープン・ウォーター 実話・元ネタ

13万ドルという低予算での製作にも拘わらず、2004年のサンダンス映画祭で大絶賛された本作は、“最も怖い実話”のキャッチコピーにもある通り、実際の事件を元にしている。この点は、同じくサンダンス映画祭で脚光を浴びた「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)が映画の設定上、劇中行方不明になった学生が撮影したビデオが発見された設定を観客が実話と信じてしまった(実際には実話ではない)のとは異なる。

実話レベル

実話レベル:2.0 実話ベースで脚色

実際の事件

その事件は、1998年1月27日にオーストラリアのグレート・バリア・リーフの港町ポート・ダグラスで、観光客にスキューバ・ダイビングのツアー船アウター・エッジ号の乗組員が、船の掃除の際に座席の下に荷物を発見した事で発覚する。荷物の中には、アメリカ人ツアー客のトム・ロネガン(当時34歳)、その妻アイリーン(当時29歳)のパスポートと財布が入っていた。ダイビングツアー客のものだと感じた従業員はダイビング装備を確認するとやはり二つ足りなかった。アウター・エッジ号がダイビングに出たのは一昨日前であり、ロネガン夫婦は40時間以上、沖合に取り残されていたのだ。二人は何故取り残されてしまったのか。調べてみると、夫婦は乗船時に乗船員名簿に名前を記載しておらず、その為、ガイドの点呼時に二人が船に戻っていない事に気づかなかった。20機程の飛行機で一週間、グレート・バリア・リーフを捜索するも、発見できたのは、ダイビング地点の海底に沈んでいたウェイト・ベルトとさらに遠方の砂浜に漂着したタンクのみだった。

約半年後の7月にタンクが漂着した場所から更に90マイル離れた海で水中スレートが見つかる。スレートとはダイバーが海中で筆談する為に使用するもので、それにはこう記されていた。「1月26日午前8時。誰か助けて。そうしないと死んでしまう。トム&アイリーン・ロネガン」。時間も経過していることもあり、筆跡までは特定できなかった。夫婦の死体が発見されず、遭難海域には大量の鮫(サメ)が生息している事から、夫婦が鮫(サメ)の餌食になったのだろうと噂し、誰もが疑わなかった。この出来事でグレート・バリア・リーフの観光客も激減した。そして、当然ながら、アウター・エッジ号の船長は業務上過失致死で逮捕された。 本作のクリス・ケンティス監督も言っているが、本作「オープン・ウォーター」はこの事件をヒントにはしているが、作品自体はオリジナル作品だ。

後日談…

そして、この事件には後日談が存在する。ロネガン夫婦はオーストラリアでの生活前に、フィジー(フィジー共和国、フィジー諸島)で4年間のアメリカの平和部隊ボランティアの任務を終え、次の生活を始めようとしていた。だが、トムの日記には自殺をほのめかす様な言葉も記されていた。

更に驚く事に、ロネガン夫婦が生きているといった噂まで聞こえてきたのだ。行方不明の翌日、別のツアー船の乗客の数が行よりも帰りの数が三人増えており、そのツアー船がイタリアからのツアー用に貸切られていたのだが、帰りの際には英語で話す乗客がいたというのだ。この事から、ロネガン夫婦が他の一人と遭難を装い、新しい生活を始めるための工作ではなかったかという推測もなされた。

地元の人がその様な推測をするのには理由がる。少し前に遡るのだが、1985年にアメリカ人の観光客ミルトン・ハリスがフェリーから転落する事故が発生。海難捜索隊が海底に潜んでいたハリスを発見するのだが、彼は3億円余りの生命保険をかけ、事故死を装っていた。そして、このハリスとロネガン夫婦に接点があったのだ。夫のトムとハリスの出身地がアメリカ・テキサス州バトン・ルージュであること。そして同じ教会に所属していたこと。 何とも奇妙な話だが、真偽のほどは定かではない。

こんな人におすすめ(まとめ)

  • 鮫(サメ)映画が好きな人
  • アニマル・パニック映画が好きな人
  • シチュエーション・スリラーが好きな人
  • 人間のリアルな精神状況を観察したい人
  • アイデアのある映画を楽しみたい人

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