激突!

サスペンス
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アクション カーアクション サスペンス

弱冠25歳のスティーヴン・スピルバーグ(スティーブン・スピルバーグ)が、姿を見せないタンクローリー運転手に執拗に追われるドライバーの不条理な恐怖をダイナミック且つ緊張感溢れる演出で描いた、超一級のサスペンス・アクション。巨匠としての片鱗を覗かせた傑作が本作である。

おすすめ度:4.0

激突! 作品情報

基本情報
1971年製作/90分/アメリカ/原題:DUEL

スタッフ
監督:スティーヴン・スピルバーグ(スティーブン・スピルバーグ)/製作:ジョージ・エクスタイン/原作:リチャード・マシスン/脚本:リチャード・マシスン/撮影:ジャック・A・マータ/音楽:ビリー・ゴールデンバーグ/編集:フランク・モリスetc.

キャスト
デニス・ウィーヴァー、ジャクリーン・スコット、エディ・ファイアーストーン、ルー・フリッゼル、ルシル・ベンソン、キャリー・ロフティン、ティム・ハーバート、チャールズ・ピール etc.

激突! あらすじ(ストーリー概要)

デビッド・マンは、商談に向かう為、ハイウェイで乗用車を走らせていた。彼は、前をゆっくり走っていたタンクローリーを追い越した。その直後、タンクローリーは、轟音をたてて抜きかえし、デビッドの車すれすれに回り込み、再び前方を塞いだのだ。その後、タンクローリーが“先に行け”との合図を送ってきたのを見て、先を急ぐデビッドは、再びタンクローリーを追い越す為、隣のレーンに乗り入れる。角を曲がると、その対向車線から一台の乗用車がもの凄いスピードで向かってくる。瞬時に元のレーンに車を戻し、数センチの差で対向車をかわすデビッド。タンクローリーの運転手は、明らかに殺意を抱いているのだ。しかし、それは恐怖の始まりに過ぎなかった。タンクローリーは、執拗なまでにデビッドを付け狙い、獰猛で巨大な怪物の様に襲ってくる…。

激突! 感想・レビュー(ネタバレ)

スピルバーグ監督の原点的作品!

今や映画界の巨匠として揺るぎない地位を築いたスティーヴン・スピルバーグ(スティーブン・スピルバーグ)が、1971年に弱冠25歳にして、超一級のサスペンス・アクションに仕立て、巨匠としての片鱗を覗かせた傑作が本作である。
当時「刑事コロンボ」などのTV作品を手掛けていたスピルバーグが、TVムービー作品として製作したのが本作で、厳密には劇場作品ではないのだが、評判となり、日本では劇場公開された珍しいケースでもある。だから、スピルバーグの実質的な映画デビュー作は「続・激突!カージャック」(1973年)である。因みにこのデビュー作品、タイトルは「続・激突!…」となっているが、まったく関係のない作品である。

原作者・リチャード・マシスンの実体験がヒント!(あおり運転)

車を運転したことのある人間なら多くの人が、大型トラックの無謀運転を経験したことがあると思うが、本作も原作者・リチャード・マシスンが自らの体験をヒントに執筆し、ハイウェイでのトラブルが殺人にまで発展する恐怖をものの見事に描いている。
脚本ももちろん、リチャード・マシスンが手掛けており、見事な仕上がりになっているが、本作の成功、面白さはやはり、この単純と言えばあまりに単純すぎるストーリーをダイナミックに演出したスピルバーグの手腕に尽きるだろう。

見えないモノの恐怖&日常に潜む不条理

そのストーリーたるや、終始一貫して追われるドライバーと巨大タンクローリーの描写だけである。まして追う側は、タンクローリーの外観だけで、タンクローリーのドライバーは、その姿を一切見せない。その為に観る者は、無気味な恐怖感に襲われるのだ。
そして、追われるドライバーも、それを観る観客も何故に主人公の命が狙われるのかは全て謎のまま。その意味でも不条理な作品である。しかし、それこそがこの映画が恐怖映画の傑作たる所以なのだ。

その昔、観る者を恐怖のどん底に落とし入れ、数々の傑作・名作を遺し、“サスペンスの神様”と謳われた“映像の魔術師”アルフレッド・ヒッチコック。彼の代表作「鳥」(1963年)にしても、その不条理さの代表であった。サンフランシスコ近郊の漁村をある日、原因もなく鳥たちが人を襲い始める。その不条理な怖さが劇場を出た後も恐怖心を残し、いつまでも脳裏に焼きつかせることになる。そして、彼は、こうも言っている。“見えないものこそが怖い”のだと。本作「激突!」もまさにそうである。

スピルバーグのダイナミックかつ緊迫感溢れる演出

いつまでも姿を見せないタンクローリーのドライバー。追われる理由すら分からない不条理さ。最近の必要以上に全てを見せるサスペンスやホラー映画とは異なり、本作が傑作たる所以はそこにある。この時のスピルバーグは、まさにヒッチコックの後継者の様であった。実際、彼自身、ヒッチコックに強い影響を受け、目標ともしていた。ヒッチコックマニアは“ヒッチコッキアン”と呼ばれていたが、スピルバーグもその一人だ。

優れた映画は、万国共通

優れた映画は、万国共通である。僕の大好きなジャッキー・チェンの傑作アクション映画「プロジェクトA」(1984年)もそうだが、音声が無くてもその凄さがわかる。良い映画に言葉は要らない。サイレント・ムービーとしても十分に通用するのだ。本作もその一つである。一度、音声を消して映画を観てもらえれば分かるはず。

こんな人におすすめ(まとめ)

後に製作されるスピルバーグ監督の大傑作「ジョーズ」(1975年)のラストシーンでは恐竜の声が使用されているんだが、本作「激突!」のラストでも恐竜の声が使われてる。耳をすませて聞いてみて。聞き比べてみるのも面白いかも。
まとめというか小ネタ的な話になってしまったけど、単純なストーリーで難しく頭を使う事無く、純粋に楽しめる本当のエンターテインメント作品です。“姿が見えないモノの恐怖”“日常に潜む不条理(の恐怖)”が堪能できる本作。是非、観賞ください。

  • あおり運転の恐怖を疑似体験?
  • 姿が見えない恐怖を体験したい人
  • 不条理な恐怖を体験したい人
  • サスペンス映画の王道
  • スピルバーグ監督作品を楽しみたい人

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