ディアトロフ・インシデント

スリラー
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POV SF スリラー ホラー ミステリー モキュメンタリー 実話

シルヴェスター・スタローン主演で大ヒットした山岳アクション「クリフハンガー」(1993年)でメガホンを取ったレニー・ハーリン監督が再度、雪山を舞台にしたミステリー作品。 1959年に旧ソ連に実際に起こった「ディアトロフ峠事件」。本作はその事件の真相解明の為、ビデオカメラを持参して実際の事件現場に向かった5人のアメリカ人大学生がそこで体験する恐怖を描いている。持参したビデオカメラを通しての所謂モキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー・スタイル)で撮影されている。

おすすめ度:2.5

ディアトロフ・インシデント 作品情報

基本情報
2012年製作/100分/アメリカ・イギリス・ロシア 合作/原題:THE DYATLOV PASS INCIDENT

スタッフ
監督:レニー・ハーリン/脚本:ビクラム・ウィート/製作:レニー・ハーリン、アレクサンドル・ロドニャンスキー、セルゲイ・メルクモフ、セルゲイ・ベスパロフ、キア・ジャム/撮影:デニス・アラルコン・ラミレス/編集:スティーブ・ミルコビッチ/音楽:ユーリ・ポテイェンコ

キャスト
ホリー・ゴス、マット・ストーキー、ルーク・オルブライト、ライアン・ホーリー、ジェンマ・アトキンソン etc.

ディアトロフ・インシデント あらすじ(ストーリー概要)

1959年に旧ソ連のウラル山脈で9名の登山グループが遭難し、その後全員が遺体で発見された「ディアトロフ峠事件」。その不可解な死亡の為、UMA(未確認動物)やUFO(未確認飛行物体)による襲撃、軍による陰謀、雪崩など様々な原因が噂された事件も時の流れとともに風化され人々の記憶から忘れ去られようとしていた。

その様な中、アメリカの学生グループ5名が大学の課題「ディアトロフ峠事件における心理学的観点からの真相究明」の為、ドキュメンタリー映画の製作することに。ビデオカメラを携え、事件現場である「ディアトロフ峠」に向かう。

実際に捜索に参加した人達への取材早々、公式発表されている遭難者が「9名」ではなく「11人」だったとの証言を得るも、精神病院の関係者からは「帰れ」と言われる。諦める訳にはいかないメンバーは雪山への登山を進める。当初楽しみながら進んでいたメンバーだったが、携帯電話も圏外、GPSも使えなくなり、“切り取られた舌”が入った箱も見つかる。周りを調べに出かけたホリーとジェンセンは謎の扉を発見する。

当初はホリー(リーダー的存在)の悪戯だと思っていたメンバーだったが、その夜雪崩が起こり一人が死亡、もう一人(アンディ)は重傷を負う。救助に現れたと思った人物に銃撃され、ホリー、ジェンセン、J・Pの3名は重傷のアンディを置き去りにして、謎の扉を開け中に逃げ込むが、外から鍵をかけられ、J・Pが負傷してしまう。

何かの研究所と思しき施設内には、政府の極秘資料の様な膨大な書類があり、別の部屋には「悪魔のいけにえ」(1974年)、「テキサス・チェーンソー」(2003年)の映画で見たような鍵爪がぶら下がっていた。そして、以前箱に入っていた“舌”の持ち主なのか、“舌”を抜かれた遺体もあった。 出口を探す3人を“何者”かが襲撃し、J・Pは命を落とす。襲撃したのはいったい“何者”なのか、そしてこの施設の目的とは。

ディアトロフ・インシデント 感想・レビュー(ネタバレ)

モキュメンタリー映画/POV映画

「この物語は実話である」というテロップと共に始まる「ディアトロフ・インシデント」は、所謂「モキュメンタリー映画」のジャンルにも分類される。

「モキュメンタリー映画」とは、“疑似ドキュメンタリー”“フェイクドキュメンタリー”とも言われ、フィクションをあたかもドキュメント映像であるかの様に見せる表現手法、つまり“偽ドキュメンタリー”の事だ。

有名な作品としては、大ヒットした「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)がある。実際、自分の周りにもこの映画手法に騙されてしまう人もいた。 そして、「POV映画」でもある。「POV映画」とは“主観ショット”“視点ショット”と訳され、要は「カメラの視線を映画の登場人物の視線として撮影する手法で、臨場感溢れた映像を撮ることができる。先述の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)以降、“ホラー映画”“パニック映画”で、この「POV映画」が増えてきているが、その反面、手ブレが激しいと映像酔い、画面酔い等を起こしてしまうこともある。

別ネタ、フィラデルフィア計画

本作「ディアトロフ・インシデント」は、そのタイトル通り、実際の事件「ディアトロフ峠事件」を題材に扱っているが、物語終盤では別の元ネタを絡ませている。その元ネタとは「フィラデルフィア計画」である。

「フィラデルフィア計画(フィラデルフィア実験)」

「フィラデルフィア計画(フィラデルフィア実験)」とは、1948年10月28日、あの映画「ロッキー」(1976年)の舞台、アメリカ、ペンシルベニア州フィラデルフィアに停泊中の駆逐艦エルドリッジを使って行われた実験で、当時、最新の秘密兵器とされた“テスラコイル(磁場発生装置)”を使用して“船体をレーダーに映らないようにする(不可視化)”を目的として行われた実験(正式名称「レインボー・プロジェクト」)のことだ。

計画(実験)の背景として、第二次世界大戦中、軍艦や戦闘機をレーダーに映らないようにする技術開発が急務となっていたことが上げられる。

その計画当時、レーダーは“物体(軍艦・戦闘機等)が発する磁気に反応するシステム”と認識されていた為、物体の磁気を消せば、レーダーには反応しないと考えられた。そこでアメリカ海軍は、駆逐艦エルドリッジに大量の電気実験機器を搭載し実験を決行した。実験開始後、駆逐艦エルドリッジはレーダーから反応を消し、実験は成功したかに見えた。ところが、実験直後、濃い緑色の光(あるいは霧の様なもの)が、駆逐艦エルドリッジを覆い、多数の乗組員を乗せたまま、忽然と姿を消してしまった。(つまり、レーダー反応を遮断しただけでは無く、艦そのものが物理的に消失した)。更に信じられない事に、2,500㎞以上離れたノーフォーク(バージニア州)に瞬間移動(テレポート)し、数分後には、元の場所に再び瞬間移動した(とされている)という。

しかし、乗組員達の身に起きた出来事は想像を絶するものだった。ある者は“身体が突然燃え上がり”、ある者は“船体に身体がめり込み”、またある者は“身体が凍り付いた”という。結果、16名が死亡し、6名は一命をとりとめるも精神に異常を来した。

“船体をレーダーに映らないようにする(不可視化)”実験自体は成功したが、この異常事態にアメリカ海軍はすぐさま計画を中止、実験そのものを隠蔽する。

ところが、1956年、作家モーリス・ケッチャム・ジェサップの元にカルロス・マイケル・アレンデなる人物から一通の手紙が届く。その手紙には、「フィラデルフィア計画」の事が克明にしるされており、このことが切っ掛けに、「フィラデルフィア計画」の存在が露見する。 その後、作家モーリス・ケッチャム・ジェサップが謎の死を遂げ、カルロス・マイケル・アレンデが計画の事実を否定するなど、謎を残したままだ。勿論、アメリカ海軍は「フィラデルフィア計画」そのものを否定している為、今では都市伝説とされている。

ディアトロフ・インシデント 実話・元ネタ

冒頭の概要でも述べたが、本作には旧ソ連で実際に起きた事件を元に製作されているが、映画自体はその事件の真相解明を調査に向かうという話になっており、事件そのものを映画化したものではない。それなのに映画の冒頭で、「この物語は実話である」という、テロップが流れる為、勘違いしてしまうかもしれない。

実話レベル

実話レベル:1.0 実話がきっかけ

実際の事件

それは、1959年に旧ソ連で起きた「ディアトロフ峠事件」だ。1959年、大学生など男女9名が旧ソ連ウラル山脈で遭難、その後全員が遺体で発見される。奇妙なのは、その遺体がいずれも異様な状態であったことだ。

経緯

遡ること1959年1月27日、現在のウラル工科大学の学生、OBなど男性8人、女性2人の計10名のグループが、トレッキングの為、スキーでウラル山脈北西部のオトルテン山(現地の言葉で、死の山)に向けて出発。このグループのリーダーはイーゴリ・ディアトロフで、彼の名前から事件が起きた場所が「ディアトロフ峠」と命名された。

出発以降、彼らの姿を目にした者はいない為、後に発見されたカメラや日記である程度状況をうかがい知ることができる。それによると、31日に山麓に到着し、翌日2月1日に山に続く渓谷でテントを張ろうとするも、吹雪の影響で目的地(オトルテン山)とは別の山に登ってしまい、途中で気付くが疲労の為戻ることもできず、風・吹雪を遮ることができない山の斜面でテントを張ることにするのだが、そこで“何か”が起きてしまう。

予定日になっても戻らない為、2月26日彼らの捜索が始まる。捜索開始まで時間が経っているのは、途中下山した一人にディアトロフ(リーダー)が“予定よりかかるかもしれない”と伝えていた為だ。 捜索隊により彼ら9名の遺体が次々に発見される。最初に発見された5人については、目立った外傷はなく、低体温症による死亡したことが判明する。だが、後に発見された4人については、到底常識では考えられな異様な状態で発見される。ある者は頭蓋骨が陥没し、ある者は舌や眼球をえぐられ、身体や衣類から高濃度の放射線が検出された者もいた。

事件の真相、そして・・・

この様な状況に、UMA(未確認動物)やUFO(未確認飛行物体)による襲来などの説も出た。しかし、当局は「抗いがたい自然の力による死亡」と結論づけた。それなのに不可解なのは、事件後3年もの間、事件発生地域を立ち入り禁止とし、更には、事件に関する資料が機密文書として保管され、1990年代まで非公開とされたことだ。

事件の真相は不明だが、本作「ディアトロフ・インシデント」では、旧ソ連の軍事秘密施設が現場付近に存在しており、軍関与説に沿っている。

最後に、2019年2月1日、ロシア検察はこの「ディアトロフ峠事件」の再調査を発表。 そして、2020年7月13日、ロシア検察当局は、「被害者らは雪崩で死亡した」との結論を発表した。

こんな人におすすめ(まとめ)

  • 陰謀好きな人
  • モキュメンタリー映画が好きな人
  • POV映画が好きな人
  • 歴史ミステリーが好きな人
  • UMA(未確認動物)が好きな人・信じている人
  • UFO(未確認飛行物体)が好きな人・信じている人
  • 山岳映画、雪山映画が好きな人

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