ドランクモンキー 酔拳

クンフー
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アクション クンフー コメディ

“酔えば酔うほど強くなる”のキャッチフレーズに、日本初お目見えとなったジャッキー・チェン主演のクンフー映画。前作「スネーキーモンキー 蛇拳」(1978年)のヒットと共にジャッキー・チェンをスターダムに押し上げる事になる。本作の日本上陸後、たちまち一大ジャッキー・ブーム(ジャッキー・フィーバー)が巻き起こした初期カンフー映画の代表作中の傑作だ。これ以降立て続けに、ジャッキー作品が公開されることになる。1994年には、16年ぶりに続編「酔拳2」(1994年)が製作され、こちらも大ヒットを記録した。

おすすめ度:4.0

ドランクモンキー 酔拳 作品情報

基本情報
1978年製作/111分/香港/原題:醉拳(Drunken Master)

スタッフ
監督:袁和平(ユエン・ウーピン)/製作:呉思遠(ン・シーユン(ウー・スーユエン))/脚本:呉思遠(ン・シーユン(ウー・スーユエン))、蕭龍(シャオ・ロン)、奚華安/撮影:張海(チャン・ハイ)/音楽:周福良(チョウ・フーリャン(チョウ・フクリョン))/武術指導:袁和平(ユエン・ウーピン)、徐蝦(スー・シア) etc.

キャスト
黄飛鴻(ウォン・フェイフォン(コウ・ヒコウ)):ジャッキー・チェン(成龍)/蘇化子(蘇乞兒)(ソウ・ハッイー(ソ・カシ)):ユエン・シャオティエン(袁小田)/閣鉄心(イン・ティッサム(テッシン)):ウォン・チェン・リー(黄正利)/師範代(ゴイチョイ):ディーン・セキ(石天)/黄麒英(ウォン・ケイイン(コウ・キエイ)):ラム・カウ(林蛟)/若先生:ワン・チェン(王将)/棒術の王(チョイ・ギッティン(棒術のワン、棒使いのチョイ)):チョイ・ハー(徐蝦)/飛鴻の叔母:リンダ・リン・イン(林瑛)/頭突きのタイガー(鉄頭のラオ・シュウ(頭突きのタイガー、石頭のチュウ)):サン・クワイ(山怪) etc.

日本オリジナル主題歌
「拳法混乱(カンフージョン)」:四人囃子

ドランクモンキー 酔拳 あらすじ(ストーリー概要)

時は清朝末期の広東。武芸百般、クンフー(カンフー、功夫)の達人で地元の名士でもある黄麒英が運営する名門道場のドラ息子、黄飛鴻。クンフーの腕前はそこそこで正義感も強い青年だが、道場の門下生の悪友と自堕落な生活をしており、何かと問題ばかり起こしていた。
ある日、親戚であるとは知らずに、自分の叔母(黄麒英の妹)とその娘に絡んだことで、父親から断食、外出禁止とされ、父親の友人でクンフーの達人・蘇化子に預けられることになる。

悪友の門下生の助けもあり、道場から逃げ出した飛鴻は食堂で無銭飲食未遂を起こし、食堂の用心棒たちに半殺しにあうところを、赤ら顔のやたらと強い爺さんに助けられる。この爺さんこそ、クンフーの達人、蘇化子だった。蘇化子のあまりに厳しい修行に耐え切れず、逃げ出した飛鴻だが、ひょんなことから、殺し屋の鉄心に戦いを挑むもあまりの強さに歯が立たず、股をくぐらされた上、道着も焼き捨てられる屈辱を味わう。雪辱を果たすべく再び蘇化子の元に戻り、修行を続行する。

修行の合間の気晴らしに町に繰り出した師弟は賭博でイカサマを見抜き、チンピラを懲らしめる。後日、その仕返しにきた棒術使いが蘇化子を襲撃する。普段なら負け知らずのパーフェクトキャリアを誇る蘇化子の相手でもないのだが、折しも酒を切らしていて、アル中の彼の手は震えが止まらない。正に危機一髪のその時、酒を買いに行っていた飛鴻が戻り、何とかその場から脱出する。

自分の馬鹿さ加減に反省する飛鴻。師匠・蘇化子も彼の上達を認め、もうそろそろ奥義を授けてもよいだろうと。その奥義とは今まで誰にも授けた事のない門外不出の秘儀「酔八仙拳(酔拳)」だ。そして、父・麒英が自分を懲らしめる為ではなく、実はこの奥義「酔八仙拳(酔拳)」を習得させる為に蘇化子に預けられた事も知ることになる。

ちょうどその頃、父の道場の土地に目を付けたライバルの道場主が殺し屋・鉄心に麒英殺しを依頼する。
飛鴻は奥義「酔八仙拳(酔拳)」をマスターできるのか。そして、父・麒英の運命は…。

ドランクモンキー 酔拳 感想・レビュー(ネタバレ)

酔拳とは

その歴史は遥か2000年前の古代にも遡ると言われる“中国武術”。現存するものだけでも400以上の流派があるとも言われている。細かい説明は割愛するが、その特徴は様々で、大きく“北派”“南派”に分類される。

“酔えば酔うほど強くなる”の本作の「酔拳」もそんな中国武術の一つで、映画の為に創作された様な拳法だが、実在する拳法です。日本では「酔拳」という名で認知されているが、正式には「酔八仙拳(すいはっせんけん」などの名前で呼ばれている。“八仙”とは映画にも登場している8人の仙人を指している。その八仙が酒に酔う姿を模した拳法である。特徴としては、酔っぱらった時の“千鳥足の技法”と、盃を持つ時の手の形を模した“月牙叉手(げつがさいしゅ)がある。映画との最大の違いは、実際の「酔拳(酔八仙拳」は酒を飲みながら戦う訳ではない点だ。

トリッキーな動きが要求される為、足腰の強さ、バランス感覚が求められる為、習得するのは難しいとされている。

実在の英雄・黄飛鴻

ジャッキー・チェンが演じる黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)は実在の人物だ。現在では香港映画に詳しい人には、ある程度は認知されていると思う。リー・リンチェイ(今では、ジェット・リー)(李連杰)主演の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズ(通称、「ワンチャイ」シリーズ)の主人公も黄飛鴻だ。古くは、クワン・タッヒン(クワン・タクヒン)(関徳興)が1949年から演じつけており、その製作数も100本近くに上る。

本作ではやんちゃなドラ息子として選ばれているが、その実像はまったく異なる。本作にも登場する“広東十虎(広東十傑)”の一人といわれた武術家・黄麒英(ウォン・ケイイン)の息子で、幼少から武術を叩き込まれた。父の死後は道場拳漢方薬局「寶芝林」を継ぎ、武術家であり、医師でもある。また、軍隊や民間武装団に武術を教え、治安維持に貢献するなど人格者としても知られている。

本作の彼はかなり型破りな黄飛鴻として描かれていると言える。

画期的なクンフースタイル

前作「スネーキーモンキー 蛇拳」(1978年)もそうだが、本作の最大のヒット要因は、それまでのクンフー映画の“暗く沈んでしまう仇討(敵討)、復讐といったストーリー”という常識を覆し、明るく楽しいアクション・コメディ―に仕上がっている点だ。そこにスポコン的な内容も盛り込まれ、今ではジャッキーのトレードマークになっているジャッキーの明るく陽気な魅力が加わっている。正にクンフー映画に革新をもたらした作品である。

親しみやすさと驚異的な身体能力

ヒットのもう一つの要因が、“親しみやすいキャラクター”と“その類まれな超人的な身体能力”である。

クンフー映画の大スター、ブルース・リー(李小龍)は言うなれば、絶対に負ける事のない無敵の主人公。常人ではできない、鋼の肉体から繰り出される隙のない技の数々。そこが彼の魅力なのだが。
一方、ジャッキーが演じているのは、どこにでもいるやんちゃな青年。観る者も一瞬で親しみを感じてしまう。子供たちも身近に感じることだろう。

そして、修行シーンに代表されるびっくりしてしまう程の身体能力。これも普通の人間には真似のできない内容なのだが、ジャッキーが難しく苦しそうに(本当に表情豊か)演じる事で自分もやってみよう、できるのではといった錯覚に陥ってしまう。当時の小学生(男の子)は休み時間になると、教室の後ろや校庭で皆真似をしたものだ。

そして、この超人的な体技がその後のジャッキー・チェンのトレードマークになっていく。

小ネタ的な話になるが、本編でのジャッキーの赤ら顔は本当に酒を飲んでいるようだけど、アップになる直前まで頭を下げ血を登らせて撮影している。それであのリアルな赤ら顔。アイデアの賜物。

日本公開版(音楽の重要性)

映画には様々バージョンが存在するが、事ジャッキー映画に関しては(特に、70~80年代)、様々なバージョンが存在する。本作もその一つだ。最大の特徴は、配給元の東映が製作したオリジナルの主題歌「拳法混乱(カンフージョン)」(唄:四人囃子)が挿入されている点だろう。劇場公開時やその後のテレビ放送時に幾度となく放送され、この「日本公開版」に馴染みのある(リアルタイムで観た)世代は、「拳法混乱(カンフージョン)」の流れない「酔拳」はまったく燃えない、というかもはや別作品である。
細かくは日本公開版が「ドランクモンキー 酔拳」、それ以外が「酔拳」として分けていると思う。

映画における音楽というのは非常に重要だ。クライマックスの他、幾つかの決闘シーンで流れる事により、観る者の興奮度もまったく異なる。燃える!

ドランクモンキー 酔拳 まとめ

記念すべきジャッキー・チェンの日本公開第一作だ。日本におけるジャッキー旋風は「ドランクモンキー 酔拳」から始まった。70年代のクンフー映画としては、ストーリー、構成もしっかりとした作品だ。
クンフー映画の常識を覆し、ジャッキーの明るさがほとばしっている。
日本ではジャッキー・チェンの声として認知されている石丸博也氏の吹替も本作が第一作。1981年の吹替から39年に渡り(2020年時点)、ジャッキーの声を演じている。

クンフー映画の面白さここにありといった作品だ。

ジャッキー・チェン 最新情報

コロナウイルスで本国・中国でも公開が延期されていたジャッキー・チェン主演作「急先鋒-Vanguard-」(原題)(2020年)の日本公開も決定しました!2021年公開予定!!
数々のヒットを飛ばしてきた、監督:スタンリー・トン(唐季禮)、主演:ジャッキー・チェン(成龍)のコンビ作品だ。

ドランクモンキー 酔拳 こんな人におすすめ

  • 「クンフー映画」デビューしたい人
  • 「武術映画」デビューしたい人、好きな人
  • アクション・コメディ映画が好きな人
  • ジャッキー・チェンが好きな人(もう観てるか)

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